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《イベントレポート》氷見ローカルライト~氷見の物語を編む4日間~を実施しました


こちらの記事は、2016年3月19日(土)~22日(火)に、魚々座を中心とした街の中、数箇所で行いました「氷見ローカルライト~氷見の物語を編む4日間~」のレポートです。

The other English column is here  (Written by Haruka Tonegawa)

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こんにちは、カブス編集室です。氷見の海からはじまるWebマガジン『カブス』は、今年2016年1月15日に産声をあげました。それから毎週金曜日には、氷見に暮らし氷見の海を想うカブスレギュラーライターが順番にコラムを書いています。

 

少しずつ読者の方も増えてきているようで、

「いつも読んでるよ」

「漁業の話は読んでいていろいろ気づきがあった」

「あれ読んで魚々座に行ってみようと思っているんだけど」

といった声が聞けるようになり、ライター・編集室共々これからもがんばろう!と思っている次第です。


 

さて、先日「氷見ローカルライト~氷見の物語を編む4日間~」というイベント(プログラム)を行いました。これは、4日間の合宿形式のライティングスクールです。

カブスはレギュラーライターだけでなく、地域外の人の目線も交えながら、もっともっと氷見の海に関するさまざまな物語をお届けしたいと思っていました。そこで、ライティングスクールと、氷見に暮らす人々との交流と実践取材を通じて“氷見を舞台に地域の物語を照らすように書き綴る”、「氷見ローカルライト」と題した4日間のプログラムを開催したのです。これは、すでに千葉や京都で開催されていた「ローカルライト(ライターインレジデンス)」を企画している、千葉県いすみ市にお住まいのライター磯木淳寛さんをお迎えして行ったものです。

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2月に参加者をインターネット上で募り、北は宮城、南は福岡から5名の方が氷見を訪れ参加しにきてくれました。そして、すごい偶然だったのですが、磯木さん主催の京都ローカルライトの参加者だった舎川さんが、ちょうど両親と北陸旅行中だったのでということでローカルライトに手伝いとして合流、そして東京海洋大学1年生の鈴木さんが、春休み中漁業の町を訪れて全国縦断している中、たまたま氷見に訪れていたということでサポートスタッフとして合流しました。磯木さん、ライターを志す5名の参加者、不思議なめぐり合わせももった2名、カブス編集室数名で行った、4日間のプログラム「氷見ローカルライト」。その4日間の様子をすこしだけレポートしていきます。

 

1日目:氷見と海の暮らしを知る

氷見と海の暮らしを知る/講座(自己紹介・インタビューの練習)/カブスライターズドリンクスVol.2

電車やバスで参加者がぞくぞく集まります。集合場所は魚々座。魚々座館内奥にある食堂で昼食が食べます。「今日は何時に起きた?」「なんか思っていたより寒い!」など会話が膨らみます。

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魚々座は、氷見の海がそばにある暮らしや漁業のことを知るにはとっておきの施設です。ローカルライト開始前に、魚々座のスタッフの方にダイジェスト版でいろいろ教えていただきました。

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なぜ氷見の定置網は注目されているのか、どんな魚が獲れているのか、どんな暮らしが営まれていたのかなど、あらゆることをお伺いすることができました。

そのあとは、座敷の一部をお借りして、ライティングスクールが開始。自己紹介のあとは、インタビューを通して相手のことや自分のことを知るワークショップを行います。この中で、初日からたくさんの文字を書いていきます。

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夜は、カブスライターもお迎えして『カブスライターズドリンクスVo.2』(カブスライターが集まる飲み会のこと)を行いました。当日漁に出ていた左座さんと鈴木さんの、まさに「カブス」であるいわし、ぎんぽなどが刺身や焼き魚として卓上にあがりました。

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(ぎんぽの蒲焼をつくる左座さん

また参加者のみなさんも、スーパー(新鮮市場)にて初めて見たという深海魚のげんげ(石川産)を湯引きして刺身として食べてみたり、1パック99円で売っていた、マメアジ(小さいアジ)の手開きにチャレンジしたりしていました。

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(げんげを前に思わず写真を撮る参加者)

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(アジの手開きにチャレンジするみなさん)

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手土産のお酒も手伝って、みなさんの自己紹介、調子のいい掛け合いがはじまって、みなさんずっと腹を抱えて笑っていた気がします。「うちの地域はこう言ったりするよ!」「氷見はこういうところがある」など、いろいろな話をしているうちに夜は更けていきました。

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2日目:じっくり学ぶ

講座(自分の好きな本、タイトル・リード文の書き方、核心に迫るインタビューなど)

2日目は自分の好きな本の紹介からはじまります。本の紹介から、自分が大切にしている考え方や価値観、相手のそれが見えてきているような気がします。

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またライターというからには、取材やインタビューなどから伝えたいエッセンスを抽出して文章にしていくことが求められます。2日目は初日より、より実践的に文章を書いていきました。タイトルやリード文などからはじまり、磯木さんが用意した課題も、徐々に書く分量が多くなっていきます。そして3日目に迎える氷見の人へのインタビュー取材に向けて、インタビューの練習も本格的に行っていきます。まだこの時点では誰へインタビューをするかは伝えられていません。緊張感も少しずつ高まってきた気がします。

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3日目:氷見の人を取材する

実践(取材準備・取材・執筆)

いよいよローカルライトの山場である実践、インタビューです。インタビュイーは2名お願いしておりました。

1人目は、漁師・漁業専門家である濱谷忠さん。漁の現場に出ながら、氷見の漁業について真剣に考えて幅広い活動をされている漁師さんです。定置網の技術をタイやインドネシアなど海外に伝える活動などもしています。

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そしてもうひとりは、船大工である番匠光照さん。氷見でかつて多く使われていた木造和船を、現在氷見でただひとりつくることができる船大工さんです。氷見で活躍するアートNPOヒミングさんのプロジェクトを通じて、和船を復刻させました。

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(魚々座では番匠さんがつくった和船の展示も行っています。)

各参加者はこの2名の方からどちらかを選び、いよいよ取材を通して記事として文章を書いていきます。とはいえ、氷見に来てまだ3日目。いきなり取材などできないので、魚々座海洋文化ラボ内の海の図書館やインターネット、関係者への事前インタビューをとおして準備を重ねていきます。

そしてお昼のあと、2チームに分かれ取材をしていきます。漁師の濱谷さんは、魚々座から車を北へ走らせて漁港へ、船大工の番匠さんは木造和船が展示してある魚々座にてそれぞれお話をじっくりとお伺いいたしました。

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そして、インタビューを終えたあとは合流してふりかえり。「聞きたいことが聞けた」「こんなことがあったのか、という発見がたくさんあった」など。中には「こんなことを聞きたかったんだけど、こんな質問をすればよかった」といった悔しいという意見も。

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とはいえ、限られた時間の中で取材をして文章にすることも大事、ここからは個別に、取材の中でわかったことや感じたことを、もくもくと文章に起こすという実践に入っていきます。夕飯を食べ終わったあとは、誰もひとこともしゃべらない、ただひたすらキーボードを打つ音が室内に響きわたります。この日はとてもとても長い夜となりました。

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4日目:「氷見ローカルライト」ふりかえり、そしてつづき

実践(原稿確認・ふりかえり)、そして追加の?!インタビュー

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最終日の朝、外はこれ以上ないほどの快晴となりました。北陸でこの時期雲ひとつない快晴というのは非常に珍しいことです。にもかかわらず、参加者の皆さんはパソコンを前に真剣に画面を見つめていました。

「いったん切ろうか」

という磯木さんの声でやっとパソコンから目を離す参加者。その表情には、もどかしいというか悔しいというか、いろいろな感情が混ざっているように見えました。実際最後まで書き上げられたという問いに手は挙がらず、皆さんまだ書き足りていないというか、もうすこし自分の文章に向き合っていたいという声が漏れていました。

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その後、原稿のまとめ方、地域を発信すること、これから書いて仕事を作っていくことについての話があったり、参加者それぞれが住む地域に戻ってからの活動についての意見や質疑応答も交わし合い、学びと笑いと出会いにあふれた4日間が終了。13:30過ぎに解散となりました。 4日間を振り返り参加者からは、

「勇気を持って申し込んだけど、書き手の多様性という価値観を知れて、自分みたいな人がいてもいいんだと感じることができました」

「こんなに書くことに徹した4日間はありませんでした。そして、核心に迫る記事を書くためにはどうしたらいいかを知れました。海はキレイだし、立山連峰は迫力満点だし、毎日温泉にも入れるし、お魚は何を食べても美味しい。そしてそれを超えるほど、迎えてくださった氷見の皆さんがステキでした!」

「たくさんの方と出会い、参加者の方々の素敵な文章に学べたことがすごく刺激になりました。これらはきっと私の財産になると思います。外から来て数日で、こんなにたくさんの魅力に気付かせてくれる氷見は本当にいいところだと思いました!」

という感想が挙がりました。

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やっと、屋外に飛び出した参加者。最終日は、氷見では有名な海越しの立山連峰が本当にきれいに見えていました。「よい最終日を迎えられた」、そんな気分でいたところでした。

 

昨日インタビューをした漁師の濱谷さんから連絡があります。

「昨日は急いで帰っちゃったから、もしまだ聞き足りないところがあれば、時間を作りますよ」

書き上げてはいないとはいえ、もう書ききったと思っていた記事、漁師チームの参加者も非常に悩んで、一度は断っていたのですが、「そういえばまだ聞いてみたいところがある」と思い直し、急遽追加のインタビューを行えることになりました。帰る予定だった船大工チームも、ぜひということでまだ氷見に滞在していた数名で濱谷さんのところへ車を走らせました。車中でもノートの上でさらに聞きたいところにペンが走ります。

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-宇波漁港。濱谷さんが働いている漁港です。

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昨日とは違った緊張感が流れる中、濱谷さんへのインタビューが始まりました。昨日「こんなことを聞きたかったんだけど、こんな質問をすればよかった」といった悔しい想いを口にしていたのは、この濱谷さんチームの参加者でした。「濱谷さんが漁師をはじめたきっかけはなんですか」「濱谷さんの想う、漁業においてこれから活躍される若い方に伝えたいことは」など、昨日聞ききれなかったことを思う存分ぶつけます。

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60分におよぶインタビューは、昨日に比べ円滑に進んだような気がします。インタビューの後はみんなほっとした表情が浮かんでいました。濱谷さんに丁寧にお礼を伝え、本当にここで、氷見のローカルライトは終了。気づけばもう夕方になっていました。「おつかれさまでした!」皆さん、眠い目をこすりながら帰途につきました。

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あれから2週間。カブス編集室の元には、5名のコラム記事と舎川さん、鈴木さんのローカルライト体験記が届いています。

どの記事も非常に読み応えがあり、かつ同じ人を取材しているにもかかわらず、少しずつ照らされている物語が異なっていておもしろいです。この記事をきっかけにはじめて二人のことについて知るひとも、すでにお二人のことをよく知っている人も、さらに発見があるのではないでしょうか。


 

こんな4日間を経て編み上げられた記事は、今後月間30万人が読むWebマガジンgreenzさん、そして当サイト『カブス』に順次掲載されていきます。

取材にご協力いただいた濱谷さん、番匠さん、本当にありがとうございました。

ローカルライト参加者が自分の持っている力をすべて出し切ったコラム、ぜひ読んでみてください。

Special Thanks :

磯木さん

魚々座のみなさん、ヒミング/カブス編集室のみなさん、藤田さん、左座さん、澤田さん、ささやん

ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

※磯木さんがローカルライトの中でお伝えされていたことはあまり書いていません。もし中身が気になる方は、ぜひ次回のローカルライトの開催にご注目ください!
ローカルライト 地方の物語を編むライター・イン・レジデンス
https://isokiatsuhirocom.wordpress.com/