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靴屋の愛 魚の革づくり奮闘記 vol.3


前回の続き)

「鮭の服ってあったようなぁ・・・」の記憶をもとに、情報を調べだした愛ちゃん。
さっそくネットで見つけた鮭の皮ジャケットを作っているひとに電話をすると…

「(新潟県)村上に鮭の皮を鞣している地区というか、鞣している人いたと思うな~」

なになに!そんな人がいるの!??
もう頭の中は、軒先で鮭の皮から身をとっているおじいちゃんの姿でいっぱいだ!
私の気持ちはすでに村上市に飛んでいた!!

鮭の町新潟県村上市、そこにはなんと鮭を鞣して革にする人達がいるという情報。

すごい事だ!村上市役所にとりあえず電話をかけてみることに。

鮭の革というキーワードを伝えると、やはり先程連絡した会社名が挙がる。鞣す人がいるという事は知らないようで、もしかしたらここならば知っている人がいるかもしれないと紹介してもらったのが、村上鮭加工協同組合だ。

まさか鮭の協同組合があるとは!村上市はほんと鮭の町だということを実感する。

氷見は鰤で有名だけど、そういえば鰤の協同組合はないな~。

ひとつの事を調べていくだけなのに、いろんな事が知れる、謎解きのようにだんだん真実に近づいていくこの感じ、終わってほしいようで終わらないでほしいなーとちょっと思っていたけど、協同組合からも返ってきたのは、

あの鮭の革の服の会社だけで、鞣す人がいるとは聞いた事がない

そう、言われ、それ以上聞いても何も情報は得れなかった(泣)
となると次なる検索は「アイヌ 魚皮 ブーツ」こんな感じで調べてみると、北方民族博物館がヒット。どうやら網走にある日本で一番最北の博物館のようだ。HPを覗いてみると、常設展示のページに北方民族の衣服写真が載っている。

私が想像していた、獣の革のような魚の革とも思えるブーツが写っておりその下には、魚皮衣と書いてあるではないか!

今度こそは鞣す方法がなにか分かるかもしれない。早速電話してみるも担当者が不在という事で、後日メールをくれる事になった。


情報収集している間も実験は続く。

前回していた実験と同じ工程で、緑茶の濃度を変えて漬け込む時間を長くしてみたり、柿渋がいいのではという事でそれにつけてみたり、漆はどうだということで、漬け込み乾燥が終わった皮に漆を塗ってみたりしてみたが、匂いは残り、皮はぱりぱり、それだけならまだしも、高野さんが漆にかぶれてしまった!

かぶれるとは聞いていたけど、ひどい、本人ほんとに辛そうでした。体を張った実験、ほんと感謝です、がんばらないと!

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柿渋を塗る。

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漆を塗る。

匂いと質感もさることながら、私達の頭を悩ましたのがどこからが身でどこからが皮なのかということだ。

乾燥し終えた皮の裏側には、白いケバケバした繊維のようなものがくっついている、この部分は一体何だ!?

一般的な革にはこんなケバケバはないし、この部分から匂うような気がするし、取るべき物でなかろうかと判断、取る作業を始めてみる。

これがなかなかの頑固物。消しゴムで擦ってみるものの消しカスばかりがでるばかりで、取りたい部分はあまり取れず。

次に登場したのはテープ、消しゴムよりも取れているようだ。

あとはカッターやはさみなどの刃物を使ってみるものの時間をかけている割にはなかなかとれず、みんなの元気な姿がなくなり疲労感たっぷりだ。
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これはいかん!今日はここまでにして、解決策を見つける事にする。

実験をやればやるほど課題が見えてくる、そしてまだ何も解決していない。

気持ちばかりが焦っていると神のような一言が!

用事があって魚々座に寄った平田女将が「高岡に魚の剥製のお店があったと思うよー」

こんな近い所にまさかの剥製!腐らないのー、におわないのー!???哺乳類や鳥類の剥製は見たり聞いたりしたことがあるけども魚って・・・想像がつかない。

検索してみると剥製のお店を発見!

友人のお店の近所だ!友人に連絡してみるとどうやら伝産(高岡伝統産業青年会)の先輩との事。紹介してもらえることになった。

気持ちは高ぶる!

当日、今回紹介してくれる「はんぶんこ」の東海君に連れられ、私と高野さんは剥製屋さんに。

お店の正面のガラスケースの中には魚の剥製がどどーんと飾られてある。それを見て二人共興奮!わくわくするね~。

店内に入るといろんな魚が飾られている。見たことのある魚、初めて見る魚が棚に置かれていたり、壁にかけられてある。

13444482_1047387088673847_1099141555_nフィッシュクラフトマツモトさん

目もある、歯もある、尾びれに背びれ、魚の姿そのまんま。

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フィッシュクラフトマツモトさんの魚の剥製

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剥製を作っているのは松本さんという男性で、剥製作りの職人さんから教わったそうだ。

ふと気づく、匂わない。こんなにたくさん魚があるのに、まったく魚の匂いがしないのだ。

松本さんと挨拶を交わした私達は、質問責め!聞きたいことがありすぎる。

裏技的な内緒な事も教えてくれたりと、とても親切でやさしい方だ。

ぼそっと一言「作業部屋も見ますか?」

待ってました!!

なんとも嬉しいお言葉に私達のテンションはマックス!全然関係のない東海君までも興奮しているようだ。

お家の中に上がらせていただき、作業部屋にお邪魔する。

ここに来ても魚の匂いがしない、すごいなー。

いろんな道具が所狭しとテーブルや壁にあり、オペが始まりそうな雰囲気の部屋だ。

道具を見せてもらいながら作業工程を聞いていくが、なんと細かくて繊細な作業なのー。

剥製はお客さんから送られてくるお魚で作る。失敗してしまえば、その魚は使えない、ということは失敗は絶対にできない。

小魚なんて相当大変だろうな~。

とてもおもしろくて、あっという間の時間だった。

次回は松本さんから教えてもらった事を参考に、新たな気持ちで実験スタート!