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大漁を祈る「魚取神社」のある風景をめぐる


氷見のまちを歩いていると、街角や海辺に小さなほこらがあるのが目に止まります。

集落や町ごとには鎮守としてその地域を守る立派な神社があるのですが、この小さな神社は普通の家の隣にたたずんでいて、氷見らしい独特の風景を生み出しています。

この小さな神社は地域によって様々な名前で呼ばれていますが、「魚取神社」と総称される大漁や漁の安全を祈るための神社です。

ここからは氷見の様々な集落にみられる「魚取神社」の風景をご案内します。海の近くで、どんな場所から漁のある毎日を見守ってきたのでしょうか。

 

 氷見の海岸沿いに並ぶ魚取神社の風景

 

魚取神社は富山湾に面している集落の一つ一つに見ることができます。単体としてお祀りされている神社は14社、ほかの神様と合祀されている神社は9社、あわせて23もの神社が氷見の海岸沿いに並んでいます。

 

(氷見の魚取神社分布マップ 参考:えびす信仰ノート(小境卓治、氷見市立博物館年年報第6号、S63年3月))

 

魚取神社の分布マップを見てみると、漁港に沿って小さなまちごとに魚取神社を祀っていることが分かります。氷見市北部の灘浦海岸に沿った集落にも、漁港があるところには必ず魚取神社があります。それでは、どんな場所に魚取神社は祀られているのか。写真に合わせてご紹介します。

 

海に向いて立つ魚取神社

中波・魚取神社

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氷見市内で一番北にある、中波という集落の魚取神社です。

漁港を見下ろす小高い丘の上に、地域の神社である「火神社」に並んで祀られています。

ほこらがあり、参拝するスペースがちょっとだけあってすぐ崖。

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海に近いロケーションとはいえやりすぎなぐらい海に近づいています。

 

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中波の港の写真

 

中波の港から魚取神社のある丘を眺めてみました。上からでは木が多くてよく見通せなかったのですが、船溜まりのすぐ上から見下ろすような位置にあるんですね。まさに豊漁を祈るための場所だと感じます。

 

薮田・三柱社

薮田の三柱社
薮田の三柱社

 

つづいて少し南に下った薮田という集落の魚取神社。ここは三柱の神様を祀っているので「三柱社」と呼んでいます。私自身今薮田に住んでいて、この小さなほこらは何だろう?と気になったのが魚取神社について調べてみようと思ったきっかけでした。この三柱社も海にまっすぐ向かって建っています。

 

漁港と三柱社
漁港と三柱社

 

国道のバイパスができる前は三柱社の前の海岸は砂浜になっていて、本当に海を目の前にしたロケーションでした。現在でも小さな漁港がすぐそばにあり、出漁前にお宮に向かって拝む姿も見られます。

 

湊町・魚取神社

湊町の魚取神社
湊町の魚取神社

 

町中にある魚取神社はまた違った雰囲気です。湊町にある魚取神社は町中を流れる湊川のすぐ側に建っています。

 

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街角の民家が立ち並ぶ中に魚取神社がたたずんでいるのが独特の風景を生み出しています。ほかの魚取神社はすべて海に向かって建っているのですが、湊町の魚取神社だけは湊川の方を向いて建っているのも特徴的。

湊町の魚取神社が海を向いていない理由は明確に分かってはいませんが、湊川は漁港が現在の位置に移る前に漁港として使われてきたという事も理由のひとつだと言われています。湊川の持つ歴史にも思いを致すことができる場所です。

 

地蔵町・須々能神社

地蔵町の須々能神社
地蔵町の須々能神社

さらに南に下りて氷見駅の近く、地蔵町にある須々能神社です。神社の名前は能登半島の先端にある珠洲市の須須神社に由縁があるといわれています。須須神社の方を向いて建っていると言う方もいます。

この神社のたたずまいは個人的に大好きですね。昔の堤防が残っていて、砂浜に向かう路地が神社の横に通っている、昔からの漁師町の空気がそのまま残っています。

 

須々能神社と海との距離
須々能神社と海との距離

あたらしい道路と堤防ができたため少し海から遠くなりましたが、それでも海をまっすぐ見ながら建っています。

 

漁と毎日の信仰が結びついた氷見ならではの風景

 

今回は氷見市内の海沿いに建つ「魚取神社」のある風景をご紹介しました。今でもそれぞれの漁師町を見守り、大漁と漁の安全を願う場所として立ち続けている魚取神社に注目して氷見の町並みを歩いてみると、漁師町としての氷見の風景がまた違ったかたちで見えてきます。

集落や町によってそのたたずまいは少しずつ違っていますので、一度肌で感じてみてください。